奇蹟の表現

yomimaru2005-02-10

bk1

惨殺された妻子の復讐を果たし、組織を次代に引き渡して隠遁したシマ。修道院のガードマンとなった彼の耳に入ったのは、孤児誘拐と臓器密売の噂だった――第11回電撃小説大賞銀賞受賞作のサイボーグハードボイルド。
シマが修道院で出会った頑なな少女ナツがメインキャラであるかのような表紙ですが、主人公は明らかに、猪のような顔を持つ巨体サイボーグに改造されたシマ。めっきり治安の悪くなった街の中で彼が心の傷とどう向きあっていくか、を描いたアクション。
全然ストーリーは違うのに、不思議に蘇える金狼(大藪春彦)*2 *3が思い浮かびます。男臭いハードボイルドにはありがちな銃器や趣味品、世界設定の蘊蓄はさらりとかわしており、嫌味なところのない描写が特徴的。黒幕も二転三転して飽きさせません。
裏表紙「すまねえな。慣れてないんだ」というシマの言葉の雰囲気が好きな方、お薦めです。

ハヤカワ文庫JA

SFが読みたい! 2005年版(SFマガジン編集部)*1に、ハヤカワ文庫JAの新刊予告がありました。

確かに、今までのハヤカワから見ると「次世代型作家リアル・フィクション」を感じさせるラインアップです。