異形コレクション XXXIII オバケヤシキ

yomimaru2005-08-22

bk1

闇に愛されし館〈オバケヤシキ〉をテーマに書き下ろされた十九短篇アンソロジー小中千昭桜庭一樹菊地秀行など、何回か読み返している作家の作品も掲載されていたので買ってみました。
小中千昭「DEATH WISH」は、深淵を歩くもの*2と同趣向で、楽しめました。動画を撮影する機械を「キャメラ」と呼ぶところは、serial experiments lain*3の脚本など、映像業界人らしい表現。
桜庭一樹「暴君」は、絶望した少年にとりつき、絶望した少女にしか見えず、それが去ると少年は何か別のモノに変貌してしまう精霊〈濃いピンク色をした霧のようなもの〉が鍵になっている話。中学一年生の女の子の一人称が、このアンソロジーの中で目立っていました。
本書解説によれば、この〈霧〉は、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない*4にも登場しているとのこと。読み返して190頁6行目から13行目にあることを発見。友彦の〈神の視点〉がこの〈霧〉なのか。なるほど。