シャドウ

yomimaru2006-10-26

bk1

母を亡くし鳳介は、父 洋一郎を案じながら二人だけの生活を始めるが、幼馴染の亜紀の母の自殺、亜紀の交通事故、洋一郎と亜紀の父の変貌に、先生に相談を持ち掛け――巧緻なサイコサスペンス。
眠れる森*2や24―TWENTY FOUR―*3では、各話の最終部分で実はこいつが真犯人かも?と思わせるヒキを見せ、次の話の冒頭で実はそうじゃないことを知らせる演出が使われていました。もっとも、消去法「一旦容疑が晴れた奴は犯人じゃない」を逆手に取る演出もあるわけですが。
本作では、各章ごとにそれっぽい結論があって、そこで終わっていたとしてもそれなりに纏まっており、ヒキは残りページ数に任せているところが特徴。後半各章では、ほっとした後にすぐドンデン返し、の繰り返しでその押し寄せる圧力に圧倒されます。
サイコもので各章がそれぞれの登場人物の視点で描かれていると、描写にフィルターがかかっていることを前提に読むことになるため、普通のミステリ的な謎解きよりも誰が犯人か、の真相の意外性の方に目が行ってしまいます。
神様ゲーム(麻耶雄嵩) *4やぼくのメジャースプーン(辻村深月) *5のような、賢い小学生が登場する展開が好きな方は是非どうぞ。

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