ぼくと、ぼくらの夏

yomimaru2007-05-15

bk1
著:樋口有介 画:フジモト・ヒデト 文春文庫*1

偶然出会った同級生 麻子に同級生の訓子が自殺したと伝えた僕が、弔問にやってきていた美人の担任村岡先生と話したら、何故か麻子が不機嫌に――不器用に恋をする刑事の息子とヤクザの娘の、第6回サントリミステリー大賞読者賞受賞作。
基本的におさんどん少年好みの私なんですが、本作の《僕》には、好きでもないのに仕方なく、無意識に女受けを考えてやっている感みたいなものが漂っていて、ちょっと反発。数人の女性にコナをかけられることも含め、赤頭巾ちゃん気をつけて(庄司薫) *2の主人公 薫クンと同様の匂いを感じます。
女子に受けるであろうと男子の側から想像した男子像をなぞっているような感じ。実際には、女子にはイタいと思われたり、男子には反発されたりするような、どちらも支持しない男子像。これって、ハードボイルドを気取る貧乏探偵が持っている勘違い感と共通するのかもしれません。
本作のヒロイン麻子は、好きなのを自覚していない涼宮ハルヒの憂鬱(谷川流) *3ハルヒや好きなのを認めたくないゼロの使い魔(ヤマグチノボル) *4のルイズとは違って、好きなのをはっきり自認しているが故に素直になれないタイプ。
ツンデレ的観賞ポイントは、《僕》に対して爆発した後に見せる麻子の微妙な歩み寄り行動。お薦め。

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