マルティプレックス 彼女とぼくのコミイッタ日々

兵士になって生死を賭けて戦う新機軸のゲームにテストプレイヤーとして参加した俺は、ゲーム内での怪我が現実に持ち越される事態に驚き――東京あちこちめぐり合いストーリー。
弱いサッカー部で女子マネをプレイヤーに転向させたら本気になっちゃった学園篇、ベンチャー経営の父の浮気で離婚協議が進む家庭篇、ゲーム指定の都内各地に行っては怪しい液体を呑んでゲームに参加し、目が醒めてみればの移動篇、勇猛果敢なスティーブ少尉として戦いつつも同僚マオが気にかかる戦闘篇と、4つのシーンを行き来する構成ですが、今巻のポイントは戦闘篇と移動篇。
ゲーム内の記憶は現実に持ち込めるけど、その逆は無理、という本作のゲーム「アポカリプスへの道」の設定は、オフ会や直メ禁止のモバゲータウンを究極的に進めたものといえるかもしれません。一旦アバターとなって行動することを決めたら、リアルの記憶は持ち込めないけど、リアルに戻ればアバターの記憶を反芻することができる。これなら大作物語系RPGの「レールの上を走らされている感」を低減できそうな気もします。
どうやって《俺》は、スティーブにこの情報を知らせるのか、かりにできたとして、スティーブはどう受け取るのか。考えてみればありきたりの手段なんですが、歓迎会での乱痴気騒ぎや戦闘前のばかばなしなどが巧みな伏線になっています。傷跡を巡るマオとスティーブの会話もいい。
次巻ではマオがメインになるとのことですが、学園篇で女子が増えすぎてサッカー部の面々に複雑な思いがなんて展開も希望。

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