あなたの呼吸が止まるまで

著:島本理生 装:帆足英里子 新潮社*1

作家志望の少女 朔(12)は、舞踏家の父の知人のデザイナー 佐倉(31)の、自分を大人として見る視線に頼りたくなり――彼女が夢をかなえる動機の裏側復讐譚。
作者と結婚した佐藤友哉も『1000の物語とバックベアード*2で、「自分が何故小説を書くのか」をテーマにした小説を発表してますが、その観点からすると、「自分が何故小説を書こうとしたのか」をテーマにした小説。作家・小説家を主人公にしただけのはずなのに、主人公と作者本人と重ねて読んでしまうのは、作者の作戦なのか、私小説的構造に毒されているのか。
同じく大人の男に惹き寄せられる『裁縫師』(小池昌代) *3では少女の官能が心に残るのに対して、本作では、少女のその歳にはなさそうな賢さの印象を強く感じました。
講談社BOXの雑誌「パンドラ」から佐藤友哉との共作恋愛小説を出す*4とのことですが、二人の作風から、死んでしまった最愛の妹が転生して歳の離れた恋人になるDEATHでLOVEな物語、と予想してみます。果たしてどうなるか。

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