武士道シックスティーン

不本意ながら全中準優勝に終わった兵法者 磯山香織は、肩慣らしに出場した市民大会で、無名の選手 甲本早苗に翻弄されたことで、彼女と同じ高校に進学することに――片手に『五輪書*2片手に鉄亜鈴の女剣士エンタテインメント。
武蔵マニアで不断の努力の人にして冷血漢の香織とお気楽な不動心にして天才肌の早苗の好対照から、まず思い出すのは、殺人マシーンが呑気者に出会って人の心を取り戻す『サクラ大戦2』*3のレニと大神とか、『Addシリーズ』(仁木健) *4のアイリーンとコウとかの関係。
もっとも二人は同性なので、LOVE展開じゃなくて好敵手関係になります。その意味では、『ガラスの仮面』(美内すずえ) *5における努力の人 亜弓と天才 マヤの関係に近いかもしれません。
昔なら単純な貧乏人の天才になっちゃうところを、ケセラセラ川原泉の雰囲気にしたのはちょっと今風。香織の師匠の玄明は、オビ=ワンの上に行けなかったアナキンとでもいったような寂びた感じ。
短時間の中で繰り広げられる駆け引きには、テンポよりも緻密さが重視されている印象。超親切な解説書、といった風情です。籠手や面の臭いにはちょっとふれるだけで、爽やかさへの配慮も忘れてません。お薦め。

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