ミステリクロノ II

著:久住四季 画:甘塩コメコ 電撃文庫*1

登校拒否の秋永が半年分の記憶を失った原因は天界の道具クロノグラフにあり、と目星を付けた慧と真里亜の前に、秋永の彼女だと言う羽澤が現われて――不確かな過去をめぐる醜悪な美談ミステリー。
散逸したクロノグラフを回収すべく地上に落とされた真里亜と、『二級天使』(石森章太郎) *2や『封仙娘々追宝録』シリーズ(ろくごまるに) *3と設定上は同趣向の本作ですが、彼女を出来の悪い妹として暖く見守る慧が本作の主人公。頭と出来の良過ぎる友人達と、スクールカースト最上段で活動する有閑倶楽部(一条ゆかり) *4的な匂いが今巻でも漂っています。
提示される謎は、他人の記憶を奪う道具メメントを使ったのは誰なのか、なんですが、謎解きはそれだけにとどまりません。『トリックスターズ』(久住四季) *5では多数の謎が衒学的に提示されていましたが、本作では、一つの解が他の謎を呼ぶ端正な構成。
ラストを読んだ後に思い返すとあのときのあの行動の意味合いがまったく正反対に見えてくる、再読したくなる一冊。お薦め。

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