憑神

yomimaru2007-05-18

bk1

婿入り先から離縁された貧乏御家人 彦四郎が酔った勢いで手を合わせた祠は、災神三連柱がやってくる霊験あらたかな三巡稲荷で――侍vs神の貧乏対決、幕末御徒士道絵巻。
映画*2予告で見た西田敏行の、妙に景気の良い貧乏神が気になって手に取った本書ですが、義理と人情の板挟みにされるでもなく、武士道の不合理に押し潰されるのでもなく、で、彦四郎の小人物なところがいいです。
ヘタレな螢一が次々とやってくる神様になぜか気に入られ、の展開は、ああっ女神様っ(藤島康介) *3と似ているかも。ウルドが厄病神、スクルドが貧乏神、ベルダンディーが死神といった位置付けでしょうか。
感情の起伏が激しくて自分は出来る男との自負も強い彦四郎の、やる事の汚なさは、いかにも小悪人。でも後味の悪さを感じるところが小人物で、そこは螢一の人の良さにも共通しています。
ブコメでも時代劇でも、駄目男がきちんと決意を見せると、一気に話が盛り上がりますね。お薦め。

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