ルピナス探偵団の当惑

元はミッション女子高の私立ルピナス学園に通う彩子は、悪友のキリエや摩耶にけしかけられて同級生の祀島に恋文を手渡そうとするのだが――少年少女が織りなす謎と論理のセッション。
亜愛一郎シリーズ(泡坂妻夫) *2には一歩及ばないのですが、ヒロインの名前「吾魚(あうお)彩子」は、名探偵の氏名一覧だとどれぐらい上位になるんでしょうか。
うふふルピナス探偵団(津原やすみ) *3として講談社ティーンズハートで刊行された当初は、祀島は美少年という設定になっていたみたいですが、改稿された本作ではさほど「美少年」という感じは受けません。
女の子にもてるキリエ、男の子にもてる摩耶に挟まれているにもかかわらず、別段それを気にせずに、博識化石オタクの祀島に心惹かれる直観の名探偵彩子。この二人の組み合わせに、無責任艦長シリーズ(吉岡平) *4の技術オタク ヒラガーが美少女パイロット エイミィに惚れられる状況を思い出しました。「自分を使いこなしてくれる美少女」というのは、今も昔もオタク少年のファンタジーなのかも。
ティーンズハート版はアマゾンだと定価よりも高くなっちゃってますが、機会を見つけて是非読み比べてみたい。

付記
カバー見返しの既刊広告を見て初めて気付いたんですが、涼宮ハルヒシリーズ(谷川流) *5の題名って、亜愛一郎の狼狽(泡坂妻夫) *6、〜転倒*7、〜逃亡*8、〜恐慌*9へのオマージュなのかも。

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