魔法探偵レイチェル 死せる魔女がゆく(上)(下)

著:キム・ハリスン 訳:月岡小穂 画:エナミカツミ ハヤカワ文庫FT*1 *2

異界保安局の嫌味な上司に辟易した赤毛の魔法使いレイチェルが後先考えずに局をやめることにすると、美貌の吸血鬼アイヴィも一緒に局をやめてついてきて――シンシナティ近郊の魔界都市ホローズで繰り広げられる瞬間湯沸器ハードボイルド。
すぐにかっとなるレイチェルの、状況を自分の都合の良いように甘く解釈して失敗して、しかも、その失敗を反省しないところは、いつも短気で損をする『坊ちゃん』(夏目漱石) *3を思わせます。アイヴィは、『坊ちゃん』の忠実な婆や 清の立場でいつも心配ばかり、の立場。
性的な意味でレイチェルに対する吸血衝動に駆られるのは、知的な美女アイヴィですが、自分にないレイチェルのDQN的性向に惹かれてしまったのかも。
シリーズ冒頭ということもあって、レイチェルがアイヴィに打ち解けるまで、が描かれていますが、今後アイヴィがレイチェルに振り回されてどれだけ辛い目に会うのか、興味津々です。女に振り回される、そこがハードボイルド。

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