いつか陽のあたる場所で

ムショ帰りで家族から縁を切られ、下町谷中で暮らし始めた芭子は、噂話にビクリ、警官を見てはドキリ、心休まらぬ日々――同じ釜の飯はクサい飯、女の友情物語。
ホストに入れあげて金策に困ったあげく犯罪に手を染めた芭子が、ちょっとしたことにもビクビクして、家の中の会話にも神経質、息が詰まる暮らしをしているのに対して、夫の暴力に耐えかねて殺してしまった綾香といえば、結構大らかに明るく過ごしている、この吹っ切れ度合のちぐはぐさが面白い。
芭子の思考がどんどん自分を追い込むように進んでいく危うさは、緊張の中に平気で踏み込んでくる下町人情に加速され、どこか『DDD』(奈須きのこ) *2の悪魔憑きの思考も似ていて、線を踏み越えてしまった者のギリギリ感が伝わってきます。
家族に捨てられたことを表面的には仕方ないと思いつつも、内心納得できていない芭子ですが、第4話「すてる神あれば」では、その考えが鮮やかに180度回転。中二病が治癒する瞬間を見たい方にお薦め。

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