このラノ2009分析(2) - 定番ゼロシャナ期待の俺妹

俺の影響がこんなに小さいわけがない

編集部が依頼した協力者ラノベにはちょっと詳しいウェブ投票者、一般人から選んだモニターの投票を集めたライトノベルランキング、前回の分析に引き続き、今回は、特徴的な地位を占める作品を取り上げてみましょう。
このラノ』ランキングでは、1人5作に投票することができ、持ち点は、

  • マニア協力者 … 1位10点〜5位6点
  • ウェブ投票者 … 1位5点〜5位1点
  • 一般人モニター … 1位5点〜5位1点

のように重み付けがされています。

先日の『このミス』分析(1)(2)では、散布図を使って特徴的な作品を抽出しました。
これを参考に、『このラノ』では、票数を横軸、得点を縦軸にして、散布図を描いてみました。
散布図では、協力者ランキング上位作、ウェブ投票者ランキング上位作、モニターランキング上位作は、それぞれ、その色を題名に使っています。
また、くまざわ書店・コミックとらのあなの売行き上位作は■印でプロットし、それ以外の作品は□印でプロットしています。
ところが、残念ながらこの通り、票数(横軸)と得点(縦軸)に正の相関があることはわかるのですが、特徴がなかなか見えてきません。
そんな時に役立つのが、まさに前回の分析で使った独立成分分析。この手法を用いると、散布図を一次変換(拡縮・回転・反転・剪断による変形)して、プロットされた点の分布を誇張することができるのです。
結果は以下の通り。作品が密集している部分では、見やすくするために一部プロットを省略しています。

これで特徴的な作品が見えてきました。

に突出しているのは、協力者ウェブ投票者、モニターのすべての支持を集めて堂々ランキング1位、当て馬ななせがいい味出してる『文学少女シリーズ』(野村美月) *2。一作だけ、孤高の地位を占めています。
に突出しているのは、残念ながら続刊が出る予定のないスポ根女子ラクロスもの『暴風ガールズファイト』(佐々原史緒) *3。個人的には主人公 広海の黒さが好き。

に突出しているのは、前回ランキング1位、売行きも好調■の経済甘々ファンタジー、FXで尾も白い『狼と香辛料』(支倉凍砂) *4
に突出しているのは、ニュースサイトとのコラボも話題、俺をロックと呼べ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(伏見つかさ) *5。ちなみにこの作品、得点を票数で割った《このラノ値》は、ランクインした作品で一番低い値になってます。

左中程には、売行き好調■、一般人の認知度も高い『ゼロの使い魔』(ヤマグチノボル) *6、『キノの旅』(時雨沢恵一) *7フルメタル・パニック!』(賀東招二) *8、『灼眼のシャナ』(高橋弥七郎) *9が集合していることもわかります。
こうやって見ると、各軸の方向性は、こんな感じじゃないでしょうか。

  • 横軸は、「絶対イチオシ!」熱狂〜 「やっぱり入れておこう」無難
  • 縦軸は、「知ってる売れてる」定番 〜 「マニアが注目」先鋭

どの作品の人気が伸びそうか、やっぱり気になるところですが、この図を見ると、■印のほとんどが図の上半分にプロットされていることがわかります。
したがって、今後の注目作は、『俺の妹が〜』、『バカとテストと召喚獣』(井上堅二) *10、『生徒会の一存シリーズ』(葵せきな) *11、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(入間人間) *12ということになりそうです。

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