完全犯罪研究部

三味線屋の勇次は腰に負担がかかる

殺された姉になりきって暮らす杉野を囲む推理小節研究部の面々に振り回され、顧問女教師 由利は、不倫している場合じゃなくなって――悪人の始末を目論む部活動を止められるのか。
魚蘊蓄まみれの『THANATOSシリーズ』(汀こるもの) *2とはうってかわって、ごくごく普通のオタトークで進む本作。部員達は皆、一応は凄い能力を持ちつつも全員心に傷を持つ痛キャラなあたりが、迷いのないテロリスト伊神/『さよならの次にくる』(似鳥鶏) *3や部長/『悪魔のミカタ』(うえお久光) *4との差でしょうか。
本作の中で登場する一番の《完全犯罪》が、卑劣なDQNによる性欲の罠ってところはどうにも皮肉。知的な犯罪よりも単純で乱暴な犯罪の方が発覚しにくい現実の厳しさに戦慄しました。これがミステリの限界か。

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