慈雨

小憎の神様は幸福を奪う

醤油で汚れた指を立食い鮨屋ののれんで拭いて帰ると、もう中学生じゃない気分になる僕――一番高いエビや赤貝も一個五銭の「幸福」を含む縁の短篇集。
角田光代Dancyuの記事がきっかけで、「小憎の神様」(志賀直哉) *2を読み返し、暖簾で指を拭くシーンが消えているのに驚いたことがありましたが、まったくの記憶違いであることが「鮨と少年」という記事で判明。
このシーンは、志賀直哉ではなくて、安岡章太郎。確かにこの五円のお釣りの話、中学か高校の現代国語の教科書か何かで、読んだ記憶があります。
何てこった! こうやって自分の都合の良いように記憶も捏造されていくのだな。

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