樹上のゆりかご

yomimaru2006-06-27

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著:荻原規子 画:香坂ゆう 中央公論社C☆NOVELSファンタジア*1

親友夢乃の企みで、自分に気があるらしい加藤クンと生徒会執行部にかかわることになったひろみは、元男子校の校風に馴染めない美少女 有理と言葉を交わすようになるが、校内行事に反感を持つ脅迫の数々に――不安定な季節を切り取るミステリアスな物語。
学区群があったころの都立の進学校の雰囲気がひしひしと(あくまで想像でしかありませんが)《リアル》に伝わってくる、地に足のついた描写は、作者自身がそういう校風の学校に通っていたからかもしれません。男女が呼び捨てでなく、「クン」「サン」づけで呼び合うあたり、妙に心に滲みてきます。
有理が演ずる「七つのヴェールの踊り」の一節マリア・ユーイングの歌劇 サロメ*2ではどうだったか見直してみたくなりました。高校の文化祭で、あの狂気の世界をやるってのはちょっと凄い。
現代とはちょっとずれた前世紀の世界観は、確かにファンタジーなのかもしれません。
ひろみに対する有理の助言が痛烈。いい人っていい人どまりなのですよね。

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