2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

解読「よくわかる現代魔法」

この稿は、桜坂洋の「よくわかる現代魔法ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ」(以下「GFW」)に関して書いた文章からなっている。 私がなぜこの小説に関して、以下のようにしつこく語るかというと、この小説が、私の読書史上最も特異的に面白い作品だと…

黒猫とパンツと自由間接話法

よくわかる現代魔法ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ(著:桜坂洋/画:宮下未紀)*1応援強化月間も本日が最終日です。 この1箇月、感想サイトを収集したり、立花隆の本*2を読んだりしたことで、この小説について色々思うところがありました。そこで、これ…

憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ

著:水口敬文 画:シギサワカヤ 角川スニーカー文庫*1第9回スニーカー大賞奨励賞作品。優秀賞2作は、タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔(六塚光)*2、タイピングハイ! さみしがりやのイロハ(長森浩平)*3とはかなり毛色が違う作品。ナイフとかミライとか、新伝綺…

ぴよぴよキングダム

著:木村航 画:竹岡美穂 MF文庫J*1私にとっては、この名義のぺとぺとさん*2 *3よりも、茗荷屋甚六名義のCANNONBALLねこねこマシン猛レース*4のシナリオとか、短篇ポテチの妖精*5の方が印象が深い、木村航の最新作。 一羽のメスと二羽のオスのひよこ型宇宙人に…

吉原御免状

著:隆慶一郎 画:西のぼる 新潮文庫*1師宮本武蔵の遺言にしたがって江戸吉原へと向かった松永誠一郎を迎えたのは、徳川家康の手による「神君御免状」とめぐる傀儡子者と裏柳生一族の争いだった。彼は自らに流れる血の秘密を知る…… 冲方丁が文章修行のために書…

ノイズキャンセリングヘッドフォン

ソニーがボーズQuietComfort 2に対抗して(?)飛行機内で使えるMDR-NC50を12月1日に発売。単4電池含む290g/24,150円(SONY)と、単4電池含まず170g/41,790円(Bose)と、どっちがいいか。 ボーズのは、買おう買おうとは思いつつなんとなく機会を逸していたのですが…

ネペンテス

著:清水マリコ 画:toi8 MF文庫J*1今回は嘘シリーズの長篇ではなく、8話構成の短篇集。触れると相手の弱点がわかるトオ、触れると相手の強みがわかるシニー、動揺して嫌な奴と思うとそいつがひどい目に合う能力を持つ祐胡、祐胡の前でだけ一人称を自分の名前…

殺こそはすべて

よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザーズ(桜坂洋/画:宮下未紀)*1応援強化月間もそろそろ終幕です。そんなこの時期に思いもよらぬ情報が。 集英社スーパーダッシュ文庫の近日発刊予定によれば、2004年12月〜に桜坂洋の新作 ALL YOU NEED I…

世界が終わる場所へ君をつれていく

著:葛西伸哉 画:尾谷おさむ MF文庫J*1突如宇宙から飛来し成長を始めた〈銀の樹〉を見に向かった僕は「あの〈銀の樹〉はあたしを殺しに来たの」と言う彼女に出会う―― 一瞬銀色の樹 粉雪のフォトグラフ(BlueBell/高橋直樹)を思い出しましたが、関係ないですね…

奇諾の旅 III ―the Beautiful World― / 〃 IV 〃

著:時雨沢恵一 画:黒白紅白 台灣角川*1 *2 不知此為何處 前往夢想之地 抵達夢想之地 不知此為何處系列作於日本熱賣230萬部! (IVより)ということで、キノの旅III*3、IV*4の中文版をちょっとだけ読み?ました。文字は繁体字ですが、文章は北京語らしい(2004/05…

近況

明日から日曜日までちょっとお休みの予定です。

想いはいつも線香花火

著:一色銀河 画:ゆい 電撃文庫*1炎術使いの宗家に生まれながら術がまったく使えない優夜。彩雲、美空、美風の三人姉妹に妄想を膨らませつつ修行に励む彼だが、美風の師匠と勝負をすることになり―― 優夜の一人称でエッチな妄想が爆発していますが、秋桜の空に…

いちせさんに本を薦める運動

運動の成果があったみたい(笑)で、2作目3作目で「大幅向上」となるのかどうか……注目しております。いちせさんは私の物差し人の一人ですので、評価がどう違うのか、同じなのか、気になるのですね。この運動であげられた真昼の星(藍川晶子)*1も読んでみたり。 …

眠り姫

著:貴子潤一郎 画:ともぞ 富士見ファンタジア文庫*112月のベロニカ*2から約2年、ドラゴンマガジンやファンタジアバトルロイヤルに掲載された短篇や未発表のものなど7篇が掲載された短篇集。 前半4篇は、本書の前半は、宇宙料理店(津山紘一)*3に似た印象。 こ…

戦闘妖精・雪風〈改〉

著:神林長平 画:長谷川正治 ハヤカワ文庫JA*1先頃のOVA*2 *3 *4 *5の発売とか、2005年2月24日発売予定の戦闘妖精少女 たすけて! メイヴちゃんの発表のせいで、色々話題をふりまいている戦闘妖精雪風の原作。前の版は読んだときの、懐しいエピソードを色々思…

幽霊には微笑を、生者には花束を

著:飛田甲 画:ゆうろ ファミ通文庫*1心霊現象を信じない科学信奉者真也のもとに現われた美少女の幽霊。「私、殺されたんです」という幽霊ユウの過去を調べる真也だが―― この作者、機械系エンジニアを本業としているとのこと、何となく理系会社員っぽい硬い文…

恋愛指南部! 秘密の合宿は嘘がいっぱい

著:石川宏宇 画:南マキ 集英社コバルト文庫*1今回の恋愛指南部のお仕事は、高校一年生の琴子と血の繋がらない叔父文親(28歳)の恋の橋渡し。かなりの資産を相続することになる琴子の後見人をつとめる文親の真意を確かめるべく、翠蓮たちは合宿を装って彼の住…

暗く、深い、夜の泉。―蛇々哩姫

著:萩原麻里 画:増田恵 講談社X文庫ホワイトハート*1ひとつ、学内に蔓延する『やっつめの怪談』の噂話を禁ずる。奇異な規則がある谷津柱高校に転入した左記子には、自身の体を厭う秘密が。蛇々哩姫の伝承を探る彼女を呵む過去の記憶とは――学園ホラーもの。 …

平井骸惚此中ニ有リ 其参

著:田代裕彦 画:睦月ムンク 富士見ミステリー文庫*1大正ロマン溢るるシリーズ第三段。売れない探偵作家骸惚のもとに書生として身を預けた河上君。ツンデレの涼、健気な潑子(はつこ)の姉妹に慕われているのにも気付かぬ鈍感で。そんな彼のもとに押し掛け婚約…

Alice

著:川崎康宏 画:エナミカツミ 電撃文庫*1エルフとドワーフのベテラン刑事コンビが織りなすハードボイルドな現代社会を描いた問題作、銃と魔法*2 *3でデビューした作者が贈る電撃文庫最新作。 アリスとくれば、ロリータものの古典(ルイス・キャロル/柳瀬尚紀)…

カレとカノジョと召喚魔法

著:上月司 画:BUNBUN 電撃文庫*1雪子の怪我を治す願いの代償に恐怖と緊張という感情を悪魔リールゥに渡した遊矢。治癒魔法のせいで乱暴者になった雪子と、いつもぽややーんとした玩具系遊矢の二人は、失われた感情を求めてリーフェとの数年年越しのかくれん…

生首に聞いてみろ

著:法月綸太郎 角川書店*1病死した彫刻家川島の遺作は愛娘江知佳の姿をかたどった石膏像。その首が切り取られたのは、江知佳への殺人予告なのか――久しぶりの長篇単行本。 何度もされる業界用語の説明がきちんと伏線になっており、これが真相につながる証拠だ…

GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―

著:桜庭一樹 画:武田日向 富士見ミステリー文庫*1パイプを咥える囚われの意地っ張我儘姫ヴィクトリカにばかにされつつ振り回される鈍感一弥のやりとりが楽しい第三段。和服を贈られたヴィクトリカ、帯をきちんと〆められずに臍を出したまま寝てしまい、風邪…

灼眼のシャナ VIII

著:高橋弥七郎 画:いとうのいぢ 電撃文庫*1今巻の見どころは、世界の危機、フレイムヘイズ、零時迷子、ミステスとしての悩み、そのような暗い話ではないのであります。オビにも書いてある通り「渾身の学園ストーリー! 『悠二、私と誓って。』」なのでありま…

イリーガル・テクニカ I さまよえる賢者

著:後藤リウ 画:伊藤ベン 角川スニーカー文庫*1500人以上の人間が集まるとその場所を灼き尽くす熾光(シアノライト)現象により、文明が崩壊してから数百年。廃虚から廃虚へと移動しては残された資材を拾って暮らすカイタとヴィンデ。ドラゴンに襲われるヘルズ…

学校を出よう! 5 NOT DEAD OR NOT ALIVE / 〃 6 VAMPIRE SYNDROME

著:谷川流 画:蒼魚真青 電撃文庫*1 *2宮野と茉衣子がすっかり主人公めいてきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうかというシリーズ第5段、第6段。当初はバッカーノ!(成田良悟)*3 *4におけるアイザックとミリアのような、胡椒や山葵のような存在の二人だった…

彩雲国物語 想いは遙かなる茶都へ

著:雪乃紗衣 画:由羅カイリ 角川ビーンズ文庫*1任地茶州に向かう秀麗と影月。しかし彼らを襲う影が――ということで、科挙を高得点で合格した初の女性官吏と少年官吏の苦労を描くシリーズ第4段。今回は茶州での敵が明らかになるまでを描いており、まだまだ先は…

くノ一忍法帖

著:山田風太郎 画:寺田克也 角川文庫*1先日の記憶が気になったので、原作を確認してみました。「忍法赤子移し」ではなく、「忍法やどかり」でした。確かにこちらの方が風情がありますね。しかも、玉突き状に女忍や局の間で胎児を移動させる荒技。すごすぎる…

9S〈ナインエス〉III / 〃 IV

著:葉山透 画:山本ヤマト 電撃文庫*1 *2正直なところ、このシリーズの1巻*3、2巻*4では、闘真と由宇は最強超人だし麻耶は偉すぎるし、という印象があったのですが、ここへきて、全員の弱味が曝け出されることになり、面白くなってきました。特に、由宇に対し…

チェーンソー連続体

連続体(セリー)のように、「シリーズ」ではなく「セリー」というルビをふるだけで突然哲学ちっくな香りがするのは、野ウサギの走り(中沢新一)*1のせいでしょうか。 で、チェーンソー連続体についての話題ですが、ネットでの評判は両極端に分かれている、とい…