吉原御免状

yomimaru2004-10-28

著:隆慶一郎 画:西のぼる 新潮文庫*1

宮本武蔵の遺言にしたがって江戸吉原へと向かった松永誠一郎を迎えたのは、徳川家康の手による「神君御免状」とめぐる傀儡子者と裏柳生一族の争いだった。彼は自らに流れる血の秘密を知る……
冲方丁文章修行のために書写をしたという隆慶一郎の、小説家としてのデビュー作。伝奇物です。
実は天皇のご落胤で女に淡白な誠一郎(25歳)、彼をとりまくのは、未来予知と読心能力を持ち誠一郎を慕うおしゃぶ(9歳)、吉原一の太夫の中の太夫高尾、誠一郎に惹かれて裏柳生を裏切った勝山、男女の営みを通じて記憶を伝授する八百比丘尼。まさに、ライトノベルの基本形の一つ、優柔不断な主人公・ませたロリっ娘・タカビーな美人・活発なライバル娘・包容力のある姉キャラに他なりません。
ラ系では時代小説って最近全然出ないので、目先を変えてみたい方には特にお勧め。
おお、この作者って、身長5メートルの千利休が登場するのに圧倒されてしまう花の慶次(画:原哲夫)*2の原作者*3なのですね。