平井骸惚此中ニ有リ 其参

yomimaru2004-10-14

大正ロマン溢るるシリーズ第三段。売れない探偵作家骸惚のもとに書生として身を預けた河上君。ツンデレの涼、健気な潑子(はつこ)の姉妹に慕われているのにも気付かぬ鈍感で。そんな彼のもとに押し掛け婚約者翠子がやって来るのでございます。河上君をめぐる女三人の鍔競り合いやいかに。
時代設定の説明が必要最小限に抑えられておりまして。L・O・V・E!分ミステリー分もきちんと入っており。すらすらと読みこなせる感じが何とも嬉しいのでございます。どこを読んでもこの文体。慣れてしまえば気持ちの良いものでございます。
外的な条件が揃ってしまえば、人が人を殺しても不思議はなく。骸惚先生のお説ももっともで。くどくどと動機に拘らない、その潔さがこのシリーズの味なのでございます。