生首に聞いてみろ

生首に聞いてみろ

病死した彫刻家川島の遺作は愛娘江知佳の姿をかたどった石膏像。その首が切り取られたのは、江知佳への殺人予告なのか――久しぶりの長篇単行本。
何度もされる業界用語の説明がきちんと伏線になっており、これが真相につながる証拠だということはわかるものの、当方の勘が悪いのか、謎の結末は最後までわからず、ラストまで一気に引っ張られました。
綸太郎自身の失敗が、読者である自分の不明と重なる構成となっているところが、このシリーズの魅力の一つ。基調は悲劇、しかもその原因が良かれと思っていたことだけに悲しい。
悲劇が苦手な本好きの方には、短篇集法月綸太郎の冒険*2/〃新冒険*3の図書館シリーズがお勧め。推理小説の登場人物紹介覧に対するいたずらの犯人を探す話など、身につまされます。「犯人→」なんていう落書きを発見しちゃったときのショックといったら。
図書館シリーズの綸太郎、眼鏡の司書沢田穂波にいいようにあしらわれていますが、眼鏡を外した姿を見たい、なんて考えているようでは、当たり前。穂波は眼鏡かけてないと!