GOSICK III ―ゴシック・青い薔薇の下で―

yomimaru2004-10-10

パイプを咥える囚われの意地っ張我儘姫ヴィクトリカにばかにされつつ振り回される鈍感一弥のやりとりが楽しい第三段。和服を贈られたヴィクトリカ、帯をきちんと〆められずに臍を出したまま寝てしまい、風邪をひくの巻。このため、一方事件は、彼らが属する学園から遠く離れた首都ソヴレムで発生するので、一弥が電話で状況を話しては、ヴィクトリカが推理する、というアームチェアディテクティブ構成になっています。
揺椅子探偵の設定としては、ヴィクトリカの家の事情で学園に軟禁状態、というよりは、理解しやすい事情ですね。
ドリル頭の兄グレヴィールとの確執の理由が明かされるのですが、何だか彼、いい奴になってしまったのは残念。美味しんぼ(雁屋哲/花咲アキラ)*2海原雄山が、当初は荒ぶる魂を持つ芸術家風だったのに、最近は物わかりが悪いふりをして息子を鼓舞する大人、といった風情になってしまっているのを思い出しました。やっぱり敵は敵らしく、強力でかつ嫌な奴でないと! それとも次巻以降で、彼らの親族でもっと強大な敵が出てくるのかもしれません。グレヴィールの因縁の女も出てきたことだし。
前巻まではヴィクトリカがいる常世、アブリルがいる現世、という対照になっていたのですが、今回は電話をとりつぐセシル先生がしゃしゃり出てきちゃっているので、アブリルの影がちょっと薄くなっているような印象が……