6時間後に君は死ぬ

著:高野和明 画:牧野千穂 講談社*1

あと6時間で25歳になる原田美緒は、「6時間後に君は死ぬ」と告げる青年 江戸川圭史の言葉を確かめるべく、心当たりを探るが――本人が予想できない非常事態だけが予測できる超能力者のカウントダウンサスペンス連作短篇集。
圭史の能力で見える未来のビジョンには、いつも時計が入っていて、何時に何が起きるのかわかる、という設定。通常のミステリーが、殺人が発見された時点から殺人が起きるまでを遡って経過を調べるのに対して、本作の場合は、《殺人》が起きる以前に《殺人》が起きるまでの経過を調べるので、時間的には逆向きになっています。
作者が映画・TV畑出身のせいか、超能力・霊・占い等がゴールデンタイムのスペシャル番組のように当たり前のように取り扱われていて、ライトノベルとは違ったデータベースが参照されている感じ。そういえば、深淵を歩くもの(小中千昭) *2も同じ印象を受けたような気がします。
連作の中では、悲劇が見えるから恋をしてはいけない、と圭史に告げられた女の子 未亜の恋模様を描く「恋をしてはいけない日」は、恋多き女の子、という設定さえ変えれば、富士見ミステリー文庫でも十分いける感じでした。
幽霊には微笑みを、生者には花束を(飛田甲) *3が好みの方にお薦め。

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