ウェスタディアの双星 4 うら若き女王騒乱に立つの章

有能な将軍は帝王の座に退屈しそう

王国滅亡の危機を乗り越え、ローゼの祖父が治めるジェントルーデ領に行幸することとなったルシリア。だが、そこには敵前逃亡した兄コルネリオの姿が――国王の手腕と誠意が問われる治安ストーリー。
将軍バドエルと参謀アルファーニの双星を軸に進んできた前巻までとはちょっと雰囲気が変わって、今巻では、女王ルシリアが国をまとめられるか、が問われます。『十二国記』でいうと、『風の万里 黎明の空』(小野不由美) *2 *3あたりの状況。
『風の〜』のボスキャラ昇紘と同じく、コルネリオ派につくヴァローナ伯もいわゆる小悪党なんですが、内乱を仕掛ける真のラスボスは、父と三人の兄を退けて帝国の頂点を目指す王子オリアス。前巻までは単なるやられ役に留まっていたのですが、ロアキア統星帝国側の内情がはっきりした今巻では、反抗するものを殲滅しつつ銀河を統一せんとする《魔王信長》モノの風情。
次巻では、帝国を手中におさめたオリアスが内政でどのような手腕を見せるのか、『銀河英雄伝説』(田中芳樹) *4のラインハルトと比べられるような展開を希望。
ぶちかまし お嬢ローゼは今巻でも大活躍。お薦め。

><