本格推理委員会

yomimaru2004-08-05

著:日向まさみち 画:壱河きづく ボイルドエッグズ/産業編集センター*1

ひきこもり文化人滝本竜彦を生み出したボイルドエッグズ第1回新人賞受賞作。「小中高一貫マンモス校・木ノ花学園を舞台に、『本格推理委員会』のメンバーが、古い校舎で起きた幽霊事件の謎に挑む青春学園ミステリ」って、とてもこの判型で出すようなあらすじじゃありません。講談社ティーンズハート文庫のよう。
ジャンル論はさておき、主人公以外の主要女性登場人物が、小学生の女の子三人(うち一人は妹)、幼馴染みに委員長に先輩に理事長で、男の方は一人だけ。完全にギャルゲー配置です。そして、この話において大変重要なことですが、主人公の妹、小学生のミアが可愛くて健気。
小学生の女の子、先生、主人公やその家族、登場人物それぞれが抱えている傷が次第に明らかになり、あらかじめ提示された描写が謎解きの鍵になって、トラウマが昇華されていくストーリーは爽快。ギャルゲー配置だけに、一世を風靡した泣きゲー展開がみっしり詰まってます。
異邦の騎士*2のような、探偵が生まれる瞬間が好きな人にもお勧め。「気持ちの良いこの世界にいついつまでも浸っていたい」(滝本竜彦)との評には大賛成!
新作に期待、ですが、またこの判型なのかな。