雪の断章

yomimaru2004-12-31

bk1
著:佐々木丸美 画:味戸ケイコ 講談社文庫*1

雪の降る夜は雪の断章。
かつて初秋の青い空の下で出会った青年祐也に引き取られた孤児飛鳥。ある殺人事件を機に、彼に対する彼女の想いは次第に抑えられないものとなって――森は生きている(サムイル・マルシャーク)*2を基調に紡がれる北の都本岡家サーガ、第1作。
本作の雰囲気は、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない*3桜庭一樹が昭和50年代を舞台に富士見ミステリー文庫講談社メフィストの中間の恋愛ミステリーを書いた、というような感じでしょうか。壮大な本岡家サーガの第1作、という点では、フリッカー式鏡公彦にうってつけの殺人(佐藤友哉)*4との呼応します。
初めて出会った飛鳥が5歳のときに祐也は大学生。年齢差約15歳の恋愛には色々と障害があって、何ともはがゆい展開がたまりません。それだけにクライマックスの感動はひとしおです。
恋愛ミステリーの要素がたっぷりつまった本作、残念ながら絶版品切れですが、映画化もされているので、文庫版は比較的入手しやすいはず。機会があれば、他の作品も含め、是非どうぞ。