公爵夫人のご商売 〜よかったり悪かったりする魔女〜

yomimaru2005-03-03

bk1

侯爵家の跡継ぎアザーのもとに嫁いだマダーと一緒に魔女ポムグラニットはとある商売を始めて財政の立て直しを図るが、アザーへの愛を語る公爵夫人カデットの登場でとんだ騒ぎが――自立する女性陣に押しまくられる男性陣コメディ。
前巻*2で明らかになったマダーの呪い、湯を浴びると性別が変わってしまう、というものなんですが、女の子好き好き♪な彼女にとっては呪いとしてまったく機能していません。
二人が始める貴族の奥方向けの商売は、男性板マダーによる出張ホスト、庭師コスプレ付き、ただしお触りは指や手や髪まで、というもので、マダーの趣味と実益を兼ねた完璧なモノ。天性の口説きのテクニックを使ってトキメキを売る様子には、遠征王と秘密の花園(高殿円)*3のような堂々とした楽しさがあります。
これが導入部のスパイスという贅沢な構成の本巻、真のヒロインは公爵夫人カデットです。彼女がアザーへの想いにどう結着を着けるか。砂糖漬けのりんごシリーズにしてはちょっと酸っぱい結末が見事。
こういうエンディングがあるから、少女小説は堪えられません。

追記
ポムグラニットの語源ですが、「pomme(仏 リンゴ)」と「granité(仏 シャーベット)」と勘違いしてました。「pomegranate(英 ザクロ)」ですね。これなら、ちょっと酸っぱい結末も納得です。