透明な一日

yomimaru2005-10-25

bk1
著:北川歩実 画:佐久間真人 創元推理文庫*1

十四年前の放火事件をきっかけに交際を始めた千鶴との結婚の報告に、彼女の父久信を訪れる幸春は、前方性健忘の様子に驚く。数日後、放火事件の関係者が襲われ――多重どんでん返しの驚愕と感動の物語。
新しい記憶が蓄積されず時が止まったままになる前方性健忘、秋桜の空に(竹井10日) *2 *3などでお馴染の設定。患者の心に秘められた謎を、患者視点ではなく、周囲視点で語るのが新鮮でした。
幸春が大学生なぐらいで若いカップルなせいか、「心配をかけるといけないから」と嘘をついたり黙って勝手に行動したりが、かえって相手を窮地に陥れたり信頼が揺るいだり。行動の蒼さがジュブナイルっぽくていいです。