地下鉄に乗って

yomimaru2006-11-19

bk1

同窓会の帰りに乗った銀座線は、父への反発から兄が自殺した夜に真次を連れていく。やがて同僚みち子も過去への旅に巻き込まれ――吉川英治文学新人賞受賞作のタイムスリップもの。
ワンマンで頑迷なの父親の危篤の知らせから過去に戻ってその父親の裏側を覗くという展開は、流星ワゴン(重松清) *2とも共通しますが、ギミックたっぷりの機械ではなくかといって自身に内在する超自然的な能力によるのでもなくありふれた乗物が人を過去に連れていってくれる、というところが、SF臭さを感じさせない理由でしょうか。
同僚にして愛人のみち子の存在も本作のポイント。二者択一を迫るのが、管理社会*3ではなくて納得してしまう自身の心であるところも、東京オリンピックの時代背景によく合っています。
タイムトラベルものが好きなら是非。お薦め。

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