ねこのばば

yomimaru2006-12-04

bk1

病弱なはずの若旦那に何故か食欲が。妖たちの過保護からくる日頃の鬱憤を晴らすべく、外出しようとする若旦那について歩く新参者の金次には、どこか浮世離れした風情があって――若旦那の寝床探偵シリーズ第三弾の短篇集。
幼馴染みのお春の結婚話にどこかアンニュイになってします若旦那「たまやたまや」には、恋愛に対する劇的なロマンを身近に知ってしまった者の不幸が。その時はその時で、今はひとまず一歩踏み出してみるのも必要かも、と思わせます。
犯人の動機に「何故人を殺してはいけないのか」とか「皆と一緒だったから殺してしまった」とかの、今日的なテーマが含まれているのが心に残りました。豊かになって爛熟した時代背景が現在と合っているのかもしれません。お薦め。