花咲く丘の小さな貴婦人 寄宿学校と迷子の羊

yomimaru2007-01-19

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父を亡くしたエリカは祖母に目通りすべくイギリスへ向かうが、地主階級の実家に相応しい覚悟のなさを使用人になじられ、一時しのぎに寄宿女子校の世話になり――19世紀末が舞台の青春寄宿校ストーリー。
伝統ある男子校に新設女子高が隣接されて迫害される女子なんですが、エリカの考え方が結構現代的で、百年以上前の男尊女卑貴族社会を現代の平民の目から批判しつつもそれに溶け込んでいく、というキャンディ・キャンディ(名木田恵子) [ISBN:]的構図になっています。エリカが当時の日本にいたとしても、吉屋信子が受けたような視線で見られたんじゃかなろうか。
マリみて(今野緒雪) *2にしろ、星界(森岡浩之) *3にしろ、騒ぎは巻き起こすけど革命は起こさない平民の珍種って、もの珍しさから上の階級に好かれるのね、なんて感じます。
口と手が同時に出るタイプのエリカが次第に男子の信頼を勝ち取っていくところ、今巻では、最初にケンカした相手のジェラルドがメインになっています。シリーズが続くなら姐さんタイプの彼女が下級生男子に頼りにされるようになるエピソードを読んでみたい。

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