二人道成寺

yomimaru2007-03-12

bk1
著:近藤史恵 文春文庫*1

女形 芙蓉の妻 美咲から、好きな人がいるとのメールを受け取った付き人 実。芙蓉のライバル国蔵と密会する美咲の姿を見た実は――意識不明の美咲が好きなのは誰なのか歌舞伎ミステリー。
登場する男性の大半が女形で、しっとりはんなりした言葉遣い。もちろん日常会話では男言葉を使う人もいるんですが、マッチョな男の反対像としての女性や自身が女であると信じる男の理想像としての女性とは違う方向の《女性》像が感じられてきます。
そんな風に、男が女を演じることが自然で当然なことに思えてくるところを、うまく使っているオチ。単なる短篇だったらすぐに思い付いたかも、の結末でしたが、歌舞伎好きの作者がこちらの興味をうまく惹くことで、この結末の意外性をうまく演出しています。
文学少女シリーズ(野村美月) *2同様作中で事件に重ねられている歌舞伎ストーリーを知っていれば、もっと楽しめるはず。

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