魔女を忘れてる

伸也が遺した「魔女が帰ってきた」との言葉に路洋は、双子と半同棲する朗人と、連続殺人事件の自分たちの薄れた記憶の関係を探るが――現実と幻想が渾淆する絶望ストーリー。
純粋無垢に残酷な子供時代の記憶、をテーマにする点では黄昏の囁き(綾辻行人) *2と同趣向の本作ですが、路洋が考えなしのDQN系行動派なせいもあってか、感じる《怖さ》は、幻想的な設定に反して、サイコホラー系ではなくてサスペンス系な感じ。
双子の菜穂と佐穂の区別がつくのは朗人だけ、本人達も区別できてないかも、という状況は、どっちもどっちもW(竹本泉) *3でしょっちゅう入れ替わって滝沢くんを翻弄する双子、美夏と真夏の関係の対偶。どちらの双子も見た目は明るいだけに、精神的な危うさが見てとれる菜穂佐穂とぼんより系の美夏真夏との差異が極立ちます。
路洋の「三人でどうやるんだ」との問いに対する朗人の答えに、ハーレムの中心にいる男の実感というか、シビアな現実を冷静に見据える女の念というか、そんなものがこもってました。

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