yom yom 6 / ヨムヨム2008年3月号

yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 [雑誌]
画:100% ORANGE 新潮社*1

特集「ファンタジー小説の楽しみ」の本号は、十二国記シリーズの短篇を含む3篇が特集作として掲載。
しゃばけシリーズ「ひなのちよがみ」(畠中恵)は、綺麗になった彼女が外で活躍すると駄目男は嫉妬する、逆末摘花系といった感じ。『つくもがみ貸します』(畠中恵) *2が人に直接関わろうとしない妖怪の話なら、本作は、人を猫可愛がりし過ぎる妖怪の話です。
大学の奇人変人を取材する豆新聞編集部の男を描く「或る失恋の記録」(森見登美彦)には、むさ苦しい大学生がフられる話ならお手のもの、の安定感がありました。
注目の短篇「丕緒の鳥」(小野不由美)は、『月の影 影の海』(小野不由美) *3 *4の陽子が慶王に登極する頃の話。御代を言祝ぐ射儀で使われる動く的「陶鵲」に懸けた職人気質は、新王に通じるのか。本人を知らない周囲の者や遠くの者が、特別な人に抱く勝手な虚像で自分を振り回してしまうあたりは、同じく掲載の「lie cylinder」(嶽本野ばら)も同じ趣向。
前王や「lie〜」のボルグと、陽子の差は、突然振りかかってきた自分のポジションを受け入れようとするか否か。人が育ってポジションにつくのではなく、ポジションが人を育てる*5、あとは育つ気が本人にあるか否かなのかもしれません。
やっぱり短篇じゃ物足りないので、講談社でも新潮社でもいいから、続きを!

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