カンピオーネ! III はじまりの物語

羊の脳味噌のフライ≒白子の天麩羅
著:丈月城 画:シコルスキー *1

廃村が理由で神社から返却された石板を祖父の友人ルクレチアに届けることになり、現地サルデーニャで気さくな少年と友誼を深めることとなった護堂だが、魔術師エリカの登場で――神殺し(カンピオーネ)の起源を描くはじまりの物語。
当たり前のようにカンピオーネになっている護堂が、色仕掛けを厭わない押し掛け女房エリカに押されまくるところから始まる本シリーズ、第3巻にして、やっとその誕生秘話を見ることができました。
これまでの本シリーズにおける神との戦いは、言葉を操って小賢しい屁理屈で凹ませた方が勝ち、で、『ばけらの!』(杉井光) *2のヒカルの戦術に通じる形だったんですが、今巻は大きく熱血少年漫画に舵を切っていて、《いいパンチだったぞ》的な友情パワー風味が炸裂。
時間の経過順に見ると、妹の静花を除けば、護堂と一番最初に仲良くなったのは、本作の記憶喪失の美少年。この話が第1巻だったら、エリカの登場がちょっと邪魔に感じたかも。この話を第3巻にしてストーリーの入れ換えを行ったことで、「シリーズ途中から登場する美少年が女では入り込めない男同士の絆を悪用して、ハーレムの輪を乱す王道展開」的な効果が出ているのが面白い。
護堂の良い意味での鈍感さ、物怖じしなさ加減が心地良い一冊です。

><