密室から黒猫を取り出す方法

Being or not being: that is the question.

あとは扉をしめるだけで密室になる瞬間、部屋に飛び込んだ黒猫。密室だけに取り出すことはできなくて――気弱な探偵 音野を引き連れて解決させる五篇のミステリ短篇集。
表紙が同じ人だったので、『少年検閲官』*2シリーズかと思って手にとったのですが、こちらは現代モノ。カバーの紙質で気付くべきでした。
表題作は、シュレーディンガーの猫みたいな題名だな、と思って読んでいたら、ちょっと関係のある結末。中の状態が外からわからないからこそ、密室なのですよね。
暗闇の中暗視カメラを使って殺人を試みようとする犯人に挑む「停電から夜明けまで」には、『刑事コロンボ』で犯人を罠に引っ掛ける瞬間みたいな気持ち良さがあります。こちらまですっかり引っ掛ってしまいました。
連作短篇ではありますが、書下し最終話でそれまでの話の真相に全部つながりが――の形式じゃありません。安心して一篇ごとに読める一冊。

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