友だちの作り方
今日の昼休みも一人屋上へ向かった友達いない暦16年の椛だが、思い詰めた表情の少女 柚木の身投げを止めるため、どもりつつも、友達になろう、と告げ――不器用な二人が友達になるまで、第3回ノベルジャパン大賞特別賞。
冒頭の屋上のシーン、椛からの申し出を受ける前と後で、柚木の性格が一変するところは、一見すると柚木のキャラが立っていない、かのように見えますが、実は重要な伏線。
一方の椛は、といえば、空気を読もう、相手の心を読もうとして、その想像が悪い方向への妄想になって、ますます会話ができなくなる非コミュなんですが、定型キャラとはちょっと違いがあります。深い自己嫌悪には陥らない鈍さ、というか。
外からは学業運動ともに優秀な一匹狼に見えるみたいで、不良だけど実はドウブツにもヒトにも優しい、みたいなぶっきらぼうキャラを、女の子に置き換えたら、という感じかもしれません。あるいは、普段はアガリ症の姫川亜弓。
集英社コバルトシリーズ創刊の頃に男性作家が書いた少女小説みたいな雰囲気が少し漂う作品。
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