初恋ソムリエ

世界のエスペラント人口は百万人
著:初野晴 写:GETTY IMAGES 角川書店*1

顧問の草壁先生に恋しながら大会出場を目指す弱小吹奏楽部のチカとハルタの二人は、部員集めに奔走する途中で、何故か謎の解決を依頼され――ノリツッコミの青春ミステリー。
本作や『午前零時のサンドリヨン』(相沢沙呼) *2のような近年発行された青春ミステリー、ちょっと前に発行の『理由あって冬に出る』(似鳥鶏) *3、さらに前の『春期限定いちごタルト事件』(米澤穂信) *4を順番に並べてみると、キャラのセリフの割合が大幅に変化している印象があります。
地の文でも鉤括弧の中でも、最近の作品は、キャラが饒舌、ハイテンションになっているような感じ。
段落分けは少な目、文やセリフは長めで、閉鉤括弧で改行が入らないこと多数で、ぱっと見には昔ながらのミステリーの頁の黒さなのに、地の文やセリフの語りが軽くて少し酩酊した気分になります。もっと段落分けが細かくなって、セリフが掛け合いになっていれば、普通のライトノベルのつもりで読めそうなんですが。
初恋の記憶を呼び覚ましてくれるサービスを提供する「初恋ソムリエ」は、表紙写真から予想されるような甘い話ではなくて、《苦くて辛い》話でした。

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