高天原なリアル

yomimaru2004-08-09

スーパーダッシュ文庫の既刊が ということで、梃入れじゃないですが、すいか祭りセットにも入っていない既刊を。もしかしたら一番最初に買ったSD文庫かもしれず。なので、SD文庫のブランドイメージは個人的には良い方なのです。
集英社ロマン大賞の1999年度受賞作。声優の母親が出演した低予算ギャルゲーが突然大ヒット! 主人公かれんは、ゲームヒロインのイメージを維持すべく、バーチャルアイドルの声優としてデビューすることになりますが、人気が上昇するにつれ、暴走するファンや下請会社と販売との軋轢に巻き込まれ……アンドリュー・ニコルシモーヌ/S1m0neみたいな感じですね。ゲーム業界の裏側も当時の「リアル」で詳細なディテールで描かれていて、読み返すと懐しさが溢れてきます。何よりテンポが気持ちいいのですが、単なるトントン拍子の成功ものではなくて落ちも効いています。
シリーズ完結から数年経過しているものの中からこのラノ風に「懐しのライトノベルがすごい! 2001年を振り返る」とかを開催するのはどうか。過去作品の投票だとあんまり盛り上がらないような気もしますが、これは一般書籍でも売れる大多数が新刊であるのと同じ心理的・構造的な理由によるものでしょうか。
スーパーファンタジー文庫版*2の表紙ではさすがに売れないと思います。