吉永さん家のガーゴイル4

yomimaru2004-08-23

2か月ごとに超特急で発行されるシリーズ第4段。今回は和己と双葉とガーゴイルの3人が、大正時代に出かけてガーゴイル誕生の目撃者となる話。記憶発掘装置は、人の過去の記憶から構成される仮想世界に入っていき、その中でそれぞれの人格が何らかの振舞いをすると、それに応じて仮想世界が適切にシミュレートを行う、というものらしく、タイムパラドックスが起きる心配はありません。
夏目漱石こゝろの話とか、芥川龍之介の自殺とか、妙に肉体派っぽい宮沢賢治とか、ハイカラなカレーライスとか、東北と貧乏と人身売買とか、大正時代らしいアイテムが山盛りです。
こゝろにこの時代の男女の三角関係のもつれが重なっています。時代背景からくる恋愛の制約にやたらと反発する双葉と理解を示さなくもない和己の好対照が良いですね。こゝろがベースであるにもかかわらず、悲惨なことにはならず、ちょっとほろりとさせるハッピーエンド系の展開は、いつも通りで安心できます。
平井骸惚シリーズ*2を読んだときにも思ったのですが、最近デビューのライトノベル作家が最初に触れた大正時代モノって、もしかして帝国華撃団(正確には「太正」か……)になったりするのかな? 私は、江戸川乱歩とか、はいからさんが通るとかなんですが。そういえば、半分の月がのぼる空*3にも宮沢賢治が出てたっけ。
しかし、この人、なんでこんなに書くのが速いのか。