ギャルナフカの迷宮
コミケット66で購入した掌篇。祝!星雲賞受賞*2です。コミケでは比較的簡単に買えたのですが、第43回日本SF大会(岐阜)で完売したと聞きました。
反社会罪を犯した者に課せられる投宮刑は、一人分の水場と餌場が描かれた地図を持たされて迷宮に投げこまれるだけの刑罰。囚人達は、餓死し、絶望して自殺し、他の囚人を襲い、喰らう―
自らに課せられた「刑罰」の意味がわからない点やどうやってこの「刑罰」から逃れるかの鍵が似ているなど、趣きは、ヴィンチェンゾ・ナタリの映画CUBEを思い出させますが、閉鎖空間での数日内の六人程の人間達の振舞いを描いたCUBEに対し、こちらはもっと多くの人間、多くの年数が描かれています。本作では、個々の人間がどうか、ということよりも、人間の集団がどうか、という点に着目するのがお勧めですね。この著者はどれもそうかな。
こういうのを読むと、また小林恭二のゼウスガーデン衰亡史*3が読みたくなるんですよね。