約束の柱、落日の女王

yomimaru2004-09-26

荒廃する国の実権のない女王クリムのもとに、世をすねた軍人カルロが二千年の未来の国からやってくる。第16回ファンタジア大賞準入選作。同期のまおうとゆびきり(六甲田千春)*2ご愁傷さま二ノ宮くん(鈴木大輔)*3と比べると、いわゆる伝統的なファンタジー異世界で時間跳躍で戦記で恋愛で王国で、詰め込めるだけ詰め込んだ感があります。ここまでやらなくても、本筋は立てられたような感じもちょっとします。
ピカレスクロマン(悪漢小説)かと感じさせる始まり方でしたが、クリムとカルロが互いを必要としながら「きちんとした人間」に成長していくビルドゥングスロマン(教養小説)でした。せっかくの聡明な侍女リーファンがあまり絡んでこなかったのが残念です。
結ばれない二人の時空を超えたラブストーリーなので、本作の続編はありえない!というエンディングですが、侍女リーファンが国家権力を握るまでを、別のシリーズで描いてくれませんか。