僕らA.I.

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廃工場近くの人工島で姉のリリコ、妹のイクミと暮らすエイジをある日襲った数時間の記憶の消失と、「父さま」と叫びながら抱きつくイクミや夜中にベッドに入り込んでくるリリコの奇妙な行動には謎の少女の影が――
このストーリーの中の事件に対して、慟哭したり壁や地面に八つ当りするのがパターンのところ、彼らの達観した自己認識と行動が実に良いですね。こういうキャラクターがそういう行動をする時代じゃないのかもしれない。
あとがきが秀逸です。本書は、長篇1本と、「あとがき」という題名の短篇1本からなる、「家族」をテーマにした本、と考えるのが順当だと思います。

追記
川上亮秋口ぎぐる別名であることを知りました。逆か。(2004/11/14)