日本ライトノベル大賞・読者賞

ライトノベル完全読本Vol.2(日経BP社)*1で日本ライトノベル大賞・読者賞の企画が発表されました。これも含め、各種ランキングについての感想などを簡単に。

第一印象

なるほど。ネビュラ賞(作家編集者批評家等の投票)とヒューゴー賞(世界SF大会の一般参加者の投票)ですか。私の感覚だと、ヒューゴー単独は面白い、両賞同時受賞は断然面白い、ネビュラはヒューゴーの補強的役割、という感じなのですが……どういう結果になるのでしょう。楽しみです。

読者賞

読者賞は完全読本Vol.2の折込葉書による投票のみで決定。きわめてシンプル。「読本読者の読本読者による読本読者のためのランキング」ですから、読本読者の好みがわかる。これはこれで面白いし意義もあると思います。
ランキングを見るときの楽しみといえば、やはり贔屓の作家や作品がどこにいるかです。「トップ300〜500をすべて発表!」等にしてくれると嬉しいですね。シリーズまとめてではなく巻ごとの投票なだけに、特に。
それから投票者の年齢分布や世代別ランキングも。完全読本の読者がどういう層なのか、ぜひ見てみたい。

大賞

読者賞100位までの作家が投票する大賞は間接選挙。代表選挙人は毎年入替制ですか。一般選挙民としては、個々の代表選挙人が投票した作品や作家とその理由に興味があります。
特に、読者賞と大賞の結果が違う場合は絶対に見たいですね。選評の内容を見れば、両賞が違うことも納得できようというもの。
贔屓の作家が選んだ作品や作家は、自分でも読みたいもの。次の読書には、プロから見たお薦めの言葉も参考になります。
この他興味があるのは、作家が興味を持つのは自レーベルか他レーベルか、とか、互いに互いを推薦し合うような仲良しグループはあるのか、とかでしょうか。

部門賞

私が好きな作家が作品を書き続けてくれる後押しになるようなランキングが一番。「賞」という形があると、ファンとしても嬉しいですし。
読者賞・大賞とは異なる基準からなる各種の部門賞を設けてもらいたいですね。単純に思いつくのは、「20歳未満支持/20歳以上支持」×「男性支持/女性支持」の4部門、とかでしょうか。
部門賞は受賞者が違えば違うほど面白いので、投票の動向を見てみないと何ともいえませんが。

その他のランキング

読本Vol.2のランキングのように、複数のパラメータA、B、Cを総合してランキングを決めることがよくあります。こういうランキングでは、A、B、Cのそのものの結果や、どのように算定したかの数式も知りたいところ。
ザ・ベストテン歌のトップテンの順位だけではなくオリコンのチャートも知りたい派なのです。CD売上げも有線リクエストもカラオケも人気投票も着メロダウンロード数も全部、全部! 未整理でいいから生のデータをたくさん!
このライトノベルがすごい! 2005(宝島社)*2の書店売上げランキング分析では、「メディアミックス作品が売上げでは圧倒的に強い」という大方の予想通りの結論が出ました。
となると、「非アニメ化作品のみの売上げランキング」に興味が向かうのは自然な流れ。
データが詳しく大量に公表されていれば、自分で独自ランキングを作ることができます。そういうデータを公表してもらえたら、と思います。

意外な結果

ランキング発表者が予想もしない結論が、データの観察や分析によって導き出されることがよくあります。
このラノWEB版の結果から、ドクロちゃんはそれだけで独立した一ジャンルをなすことを推論した 有里さん一歩さん分析
このラノ占い作家重み表から担当編集者K藤さんの影響を推論した 新井輝さんの分析
日本ライトノベル大賞・読者賞に限らない話ですが、ふと思い付いた方法で分析を試みることができるように、幅広い詳細なデータ公開がされると、ランキングは断然意義深くなると思うのです。