All You Need Is Kill
ぼくらはループする。このクソったれな恋と戦場を――
歴戦の勇者リタは、瀕死の重症を負う初年兵ケイジに「お前が死ぬまで、そばにいよう」と告げた。敵との相討ちをきっかけに戦死と出撃の一日の繰り返しに巻き込まれたケイジの運命は――戦場時間ループものです。
本作は、初陣前日から戦死までの限られた地域での1日の繰り返しを描いており、一種の三一致になっています。繰り返しに巻き込まれる人と、その記憶の扱いに新たな視点を導入しており、時間ループの新しい魅力がうまく引き出されています。
ケイジとリタの台詞の呼応や役割の転換が、緑茶と珈琲、夕日と青空といった舞台装置と印象的に対応付けられており、その緻密な構成には舌を巻くほかありません。
高速英語(バーストイングリッシュ)で男言葉を喋るヒロイン リタ、フィギュアマニアの眼鏡っ娘整備士シャスタも光りますが、ループの中で師匠となってケイジを鍛えるフェレウ軍曹が渋くて格好いい。ループに巻き込まれてもあたふたしないところなど、この手の題材に慣れ親しんでいる世代のケイジにも共感が持てます。
ターン(北村薫)*2、Y(佐藤正午)*3、リプレイ(ケン・グリムウッド)*4、第四間氷期(安部公房)*5が好きな方は必読。食堂での大騒ぎが好きなイリヤの空、UFOの夏 3「無銭飲食列伝」(秋山瑞人)*6派の人も是非。
All you need is read! 読まずに死ねるか！
→ 感想リンク集
