星々のクーリエ
軌道エレベータを巡る利権と陰謀の渦巻くガン島に、遺伝子データから生成されたカリスマ人造人間クーリエを追跡する戦闘員真尋もまた、遺伝子データの選別の末生まれた人間だった――
街中でイヤフォンマイクで電話している人の後ろ姿はあぶない人のように見えますが、それがさらに進んで脳内彼女が電波で俺に命令する戦術支援AIがばんばん登場する未来社会。むせかえるほどのSFガジェットが、物量で攻め寄せます。
ガタカ*2における適正者のような自身の生まれゆえか、人工知能や人造人間に対する真尋の考え方がひどくナイーブです。その姿には、清水義範のソノラマ文庫作品のような懐しさを感じます。注釈抜きのなんとなく、クリスタル(田中康夫)*3を今読むような。
戦術支援AI「アイコン」が真尋に脳内で語りかけるときの呼称が「お姉様」ではなく「姉さま」であるところ、アトラク=ナクア*4のようで超好み。
