五人姉妹

yomimaru2005-02-02

bk1
著:菅浩江 画:中川悠京 ハヤカワ文庫JA*1

四百キロ離れた宇宙ステーションで暮らす淳夫と、彼が三箇月後に帰ってくるのを地上で待つ優佳の通信のタイムラグに始まる二人の時間のずれ。日毎に大きくなるずれに、戸惑う二人は――「箱の中の猫」を含む九篇の短篇集。
この話、シュレーディンガーの猫と認識論に絡めた見た目をとっていますが、本質は、眠り姫(貴子潤一郎)*2と共通するんじゃないかと思います。身を斬るような切なさではなく、年を経るごとに積もってくる渋い澱のような切なさでしょうか。
表題作の「五人姉妹」は、A-A'(萩尾望都)*3と似たような世界観で、これもなかなか好み。
ミステリが加納朋子なら、SFは菅浩江という対応関係が成立しそうです。