タム・グリン 水の妖精つかい

yomimaru2005-02-18

bk1

木の声が聞こえる木工職人イオが妖精との交渉人を目指して契約を結んだイルカの妖精シェラン。シェランの姿に重なって見える少女が気になるイオに、シェランは不信を募らせ――種を超えた禁断の恋愛モノ。
普通の小説なのに何故か叙事詩のような印象を受ける不思議な魅力のある文章で、その点が、本作のテーマ「禁忌を破る数々の恋の行く末」によく合っています。
複数の禁断の恋情が相互に絡み合っていて、その結末のバリエーションが好対照をなしているのが心に残ります。
シェランがイルカだったこともあってか、ラストシーンはちょっとムーの白鯨*2を思い出しました。このラストシーン好き。