悪魔の皇子 ブラインド・ソーサリー

yomimaru2005-03-15

bk1

異母兄の皇子シェラバッハによって王女ナシエラの体に魂を封じられたアストロッド。消え去る運命の彼女の心に触れたアストロッドがシェラバッハと闘う術は、光の騎士を呼び出すのみ――闇の兄弟の愛憎劇、第2回角川ビーンズ小説賞優秀賞受賞作の続編。
前巻の悪魔の皇子 アストッロド・サーガ*2と一緒に読むと恩讐の彼方に(菊地寛)*3を思い出すのですが、了海(市九郎)ほどには悟っておらず、時折、昔ながらの我儘とか短気とかを発揮するのがアストロッドの味。人間の本質はなかなか変われない、というところが彼をぐっと身近に感じさせます。
彼の外見であるナシエラに惚れてしまうルシアが実之助の役割に相当するんですが、敵討ちと恋焦がれるのって、ベクトルが逆向きなだけで、同じく強い想いなのです。
ハルシフォンの英雄(雨川恵)*4もそうなんですが、異母兄弟の愛憎は基本のキ。