大沢さんに好かれたい。
一緒に図書委員を務める大沢さんとの交換日記だけが楽しみの大地守はいじめられっ子。帰り道に巻き込まれた戦闘で、望まぬままに正義のヒーローを受け継ぐこととなった守だが、大沢さんとの関係を一方進めることができないまま――新世紀のヒーローノベル。
傍から見ていると、さっさとつきあっちゃえばいいのに、とか、何でお前はそんなに自信がないわけ？ とか、イライラしきりの二人。
突然ヒーローの力を得た男の子は、イコノクラスト!(榊一郎)*2や幻魔大戦(平井和正)*3の例を見るまでもなく、増長して嫌な奴になってしっぺ返しを喰らうのが常なんですが、本作主人公の守といったら自信のない態度が徹底されていて、告白すら。
大沢さんと守の関係は変わらないのに守がヒーローになったせいで二人を囲むセカイの方が変わってしまうところや、ヒーローの力を得たにもかかわらずへたれな態度で大沢さんに接してしまうところが、実に新世紀ちっくです。
三人称のノリツッコミではなく、へたれな僕の一人称での描写が新鮮でした。
