蛇と水と梔子の花

yomimaru2005-06-01

bk1
著:足塚鰯 画:田久ようこ 集英社コバルト文庫*1

大好きな姉三江のお見合いをブチ壊すため頑張る妖猫姉妹の末娘六姫。武骨で素朴な従者を連れてやってきた優男風の婿候補に反発する彼女は――妖猫一家のドタバタお見合いファンタジー。長女・次女は結婚しているところからスタートする表題作の他、長女一妃の見合いがまとまるまでの二篇が掲載されています。
猫と蛇、猫と鳥といった融通無碍なカップリングには驚きましたが、話の雰囲気に黄昏時鼎談(わかつきめぐみ)*2 *3掲載のお姫様に振り回される鶉山の主様シリーズを連想しました。
六姫が自分を客観的に見ることができるように成長していく様子や、妹たちの面倒を見てきたために他人に素直に頼れない一妃の苦悩が、第一印象最悪の男を軸に、綺麗に正統的に描かれています。両篇とも、ラストの一捻りや大騒ぎが絶妙に好み。
ある意味で他愛ないストーリーを実に手堅く纏めており、六人姉妹のそれぞれがしっかりと役割を果たしているところが好印象、お薦めです。次は、酒呑み次女の縁談コメディを出してくれないかな。